ココロノート処方箋

レベル0のリハビリトレーニング~うつや疲労で動けない人~

🛏️ レベル0のリハビリトレーニング

「動けない日、どうすればいいの?」

うつ病や疲労で全く動けない日に、どこから回復のきっかけを作ればいいのか?
この記事では、「レベル0」という最も簡単な行動から始める回復法を、わかりやすく紹介します。


はじめに

うつ病や慢性疲労の中にいると、「動こう」という気力すら湧かない日があります。

そんな日に
「何もできていない」
「もっと頑張らなきゃ」
と自分を責めてしまう人も少なくありません。

でも本当は、少しでも「何かをしよう」と思えた時点で、もう回復は始まっているんです。

「体力をつけたいけど、そもそも体力がない」問題

よくある疑問に、こんなものがあります。

「体力をつけるには体力が必要じゃないの?」

実はこれ、回復のために非常に本質的な問いです。

体が動かない状態では、「普通の運動」すら過酷に感じます。
だからこそ大切なのは、今の自分にできる“最小単位の行動”を見つけていくこと。

🌱 小さな行動がもたらす「目に見えにくい良いこと」

以下の表は、段階的な小さな行動がもたらす「体と心の良い変化」をまとめたものです。

レベル 行動 期待できる“いいこと”
Lv.0 手足を少し動かす
  • 血流が少し良くなり、脳の霧がわずかに晴れる
  • 「完全に止まってるわけじゃない」と思える
Lv.1 座る・寝返りを打つ
  • 内臓の働きがゆっくり動き出す
  • 小さな主導権が自分に戻ってくる
Lv.2 水を飲む
  • 脱水で重かった体が少し軽くなる
  • 「生きる力を取り込んだ」と実感できる
Lv.3 カーテンを開ける
  • 光が体内時計をリセットし始める
  • 朝と夜の感覚が少し戻ってくる
Lv.4 洗面所へ行く
  • 交感神経が刺激され、眠気が減る
  • 気分がほんの少し切り替わる
Lv.5 着替える
  • 「外の世界」との距離感が変わる
  • 鏡に映る自分を確認できる
Lv.6 部屋の中を歩く
  • 体温が上がり、脳が活動状態に近づく
  • 「生きてる感覚」が少し戻る
Lv.7 玄関まで行く
  • 外の空気や音が「世界とのつながり」を思い出させてくれる
Lv.8 外に出てみる
  • 自律神経が刺激される
  • 「人と会わずに外とつながれる」安心感
Lv.9 家の周囲を歩く
  • 心肺が少し活性化
  • 「帰る場所がある」と実感できる
Lv.10 コンビニに行く
  • 社会との接点を1つ取り戻せる
  • 「自分で決めて動いた」という実感が得られる

🧘 レベル0:布団の中でできる3つの動き

  1. 手をグー・パー(5回)
    → 両手を軽く握って開く。動けたという実感を、まず手のひらに。
  2. 足首をぐるぐる回す(左右5回)
    → 小さくてもOK。つりそうなら中断してもよい。
  3. 深呼吸をひとつ
    → 鼻から吸って、口から吐く。「今、呼吸している」と意識してみる。

これで終わりでOKです。疲れたら、また横になってください。

☁️ 「達成感がない」と感じても大丈夫

うつの症状には「喜びや達成感を感じにくくなる」傾向があります。
だから、意味がないと感じるのは自然なことです。

でも、感じられなくても、体は確かに反応しています。
少し動いたことで、血流、呼吸、神経のリズムなどがほんの少しだけ変化しているのです。

📶 回復の階段を、自分のペースで

昨日Lv.3だったのに今日はLv.1……そんな日があっても大丈夫。
回復は一直線ではありません。
「今日は休む日」も、ちゃんと意味のあるプロセスです。

🕊️ 最後に

ここまで読んでくれたあなたは、すでにレベル0の上に立っています。
「動いてみようかな」と思えた、その気持ちがもう回復の兆しです。

また動けそうな日が来たら、次のレベルを試してみてください。
無理をしなくていい。あなたのペースが、あなたにとって最適な回復ルートです。



ABOUT ME
siratama
SIRATAMA(しらたま)です 医療従事者の理学療法士をしています。医療福祉の現場経験が沢山ありますので事業所による働き方や転職についての発信をしています。趣味のピラティスでは資格取得、メタバース分野でも体を動かす健康についても活動中です。多趣味で雑記の記事も投稿中