セラピストが退職するとき、患者さんの心はどうなる?
〜理学療法士のリアルな葛藤と引き継ぎの在り方〜
「辞めたい…でも、担当している患者さんが心配で動けない」
そんなふうに、仕事と気持ちの間で揺れている理学療法士さん、介護職の方はいませんか?
この記事では、転職を繰り返してきた理学療法士である私が、退職・引き継ぎのときにぶつかった患者さんへの想いと現実の葛藤について語ります。
読むことで、読者自身の「今の選択」に向き合うヒントが得られるかもしれません。
「自分を大事にしながら、相手も思いやる」。そんな働き方を一緒に考えてみませんか?
自分の退職が、患者さんに与える影響は想像以上に大きい
セラピストとして働く中で、転職や退職は避けて通れない場面があります。
けれど、そのたびに心をよぎるのは、関わってきた患者さんの顔。
どうしても「自分のこと」が中心になるのが人間
退職を考えるとき、多くは以下のような理由がきっかけです:
- 職場の人間関係(例:パワハラ)
- 労働環境(休みが取れない、給料が低い)
- キャリアアップや副業
これらはとても大切な「自分の人生の問題」ですし、逃げることも、変えることも大切な選択肢です。
でも…残された患者さんの気持ちは?
先日、SNSでこんな投稿を見かけました。
「担当のセラピストさんが退職すると聞いて、とても悲しい。
次の人とのリハビリが不安で、夜も眠れない…」
読んだとき、胸がギュッとなりました。
自分の中では「ただの退職」でも、相手にとっては「心の支えを失うこと」かもしれない。
この事実を、私は何度も見過ごしてきたかもしれません。
訪問看護で「自分しかいない」現実を実感
私自身、現在は訪問看護でリハビリを行っています。
担当患者さんは基本的に1対1。つまり、私が辞めたら「次」はいません。
もちろん、事業所としては代わりを手配します。
でも、患者さんの目線で見れば、「信頼していた人が急にいなくなる」ことは、不安以外のなにものでもない。
だからこそ、平時からできる準備がある
- 患者さんに「次も安心できるようにする」説明
- 引き継ぎノートや記録を丁寧に残す
- できれば、一度新しい担当と顔合わせ
「退職=裏切り」ではなく、「未来をつなぐバトン渡し」。
そんなふうに、患者さんにも伝わるような言葉と行動をしていけたら、
退職も前向きなものになると思うんです。
自分の未来も、相手の安心も、どちらも大事にしたい
心の中で何度も迷いました。
「こんなに信頼してくれてるのに、私だけ次に進んでいいのか?」
でも、同時にこうも思います。
自分を犠牲にしてまで仕事を続けることが、果たして本当に「誠実」だろうか?
退職はワガママじゃありません。
ただし、患者さんの気持ちに向き合う努力をすることは、セラピストとしての誠意のひとつです。
まとめ:自分を守りながら、相手も思いやる退職を
- 退職=自分の人生の選択。決して悪ではない
- ただし、患者さんには心の準備が必要
- 引き継ぎは、セラピスト間だけでなく患者さんへのケアも重要
- 真摯に説明し、安心を提供することが退職後の信頼にもつながる
もしあなたが今、退職や転職を考えているなら、
「自分も大事、患者さんも大事」という視点を持ってみてください。
そして、自分を責めるのではなく、どうやったら双方が笑顔で未来へ向かえるか?を一緒に考えていきましょう。